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隠者の告白は人間失格のこゝろ

一気に読んでしまった三冊。

平野威馬雄【隠者の告白】
太宰治【人間失格】
夏目漱石【こゝろ】

いやはや。なんつーラインナップでしょ。
いずれも濃い、濃すぎる小説。
そろいも揃って底辺に流れる「恥ずべき己」というものが見事にシンクロ。
疲れこそしなかったけれど、久々に小説の中に入り込む夢を見た。

三冊の内容が入り混じった世界で、それぞれの独白が自分のもので・・・
気が狂っているのかもしれない自分が、ただじっと水の底のベッドに座ってるだけ。
気が狂っているのかもしれないとする肯定に、ぞくっとするような快感をおぼえながら
その途端に、とてつもない自己嫌悪が働くんだけど、狂えない自分を嘲笑してもいる。
どちらも自分であって自分でない。全部が自分。
十代、二十代に読んだ時には感じなかったものが生まれて、それに救われて・・・。
隠者の告白を この歳になって読んだのは正解だったのかもしれないと思います。(笑)

でも、隠者の告白以外の2冊は若い頃にも読んでるのだけど
今回は”葉ちゃん”にも”私”にも全く違った面を見せられてしまった気がする。

若い時は二度と戻らないけど、
若い頃に読んだ本は何度でも読み返せる。
その本を読んだ頃の自分と再会できる。そう、恥ずべき己と。

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2007年12月05日 04:15に投稿されたエントリーのページです。

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