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馬アキレスと馬のスジ

尾だ鞠亭で 馬といえば・・・
馬刺しはもちろんですが、もうひとつ忘れてはならないものがございます。

それは、「スジ」。馬のアキレス腱のことなのですが、
毎年、我が家のおでんの中では主役として君臨しております。


煮込んで三時間程の「アキレス」と「すじ」


まる一日煮込んだ「アキレス」と「すじ」


そして、もう半日程煮込んで・・・私の大好きなトロトロ状態。


馬の味わいを楽しみたければ、「すじ」の方が美味しい。
でも、「アキレス」の味わいは食べた人でなければ解らない食感だと思う。。
硬いままなら ゴリゴリと噛み締める美味しさがあり
もう少し煮込んだところでは ゴリゴリが少しだけ柔和になってて・・・
完璧に煮込むと ゼラチン質のトロトロ状態。
もう たまりまへん。
まだ私が郷里にいた頃、おでん屋さんで「スジ!」と頼むと「どれがいいの?」と、好みの硬さを必ず聞かれたものです。(今はどうなんでしょうね?)
とーぜん 私は、硬いのも柔らかいのも両方頼んでました。
OL時代の私・・・、これと熱燗さえあれば 飲兵衛なおぢさま達に囲まれながら
ひとりでも ニコニコおとなしい酔っ払いでいられたものです。(ほんとよ)


ところが、

以下は、昨年暮れのお話し。

今冬も田舎から送ってもらおうと母に頼んだところ・・・なにやらこの「馬スジ」に異変が起きている様子。
昨冬までは、熊本のどこのお肉屋さんやスーパーに行っても普通に串刺しの「馬スジ」があったんです。
それがどういう訳か、どのお店に行っても「馬のアキレス」が売っておらず・・・売り場では「牛のアキレス」しか売られていないと言うのです。。

母はその時、仕方なく「牛のアキレス」と、「馬すじ」を送ってきてくれました。
私は「えー?牛~?」と毒吐きながら(バチ当たり)一応 おでんに投入、煮込み開始。
それと一緒に「馬すじ」も投入。

今までは「スジ」というのが「馬アキレス」の呼称だった筈なのに、送ってきた「馬すじ」は、とても肉っぽい・・・。でも所々にアキレスっぽい筋がついている。と、また母に確認すると、今は(・・・今年から?)アキレスの周囲の肉を「すじ」と呼ぶようになってるらしい。
私が長年「馬のスジ」と認識してきたものが、現在では「馬のアキレス」、その周囲の肉片が「馬のすじ」として市場に出回っているそうな。
不思議。
なんで、「馬アキレス」が市場から消えちゃったのでしょうか??

そんなこんなを 考えているうちに おでんに入れた「牛アキレス」が煮えてきました。
と、おでんの蓋をあけると・・・びみょーに牛脂の匂いがする。
いや、別に・・・美味しければ良いのよ。と思いながら食べてみると・・・・
う・・・見紛うことのない牛味だ。モー。
馬に馴染んだ私の嗅覚に訴えるにはあまりにも違いすぎる匂い。
牛の匂いと馬の匂いじゃ とーぜん全然違う。
いや、牛と認識して食べれば これはこれで充分美味しいです。はい。
しかし、
走る馬と、走らない牛。
アキレス腱は、やっぱ 走る方が美味しい。

次に、肉っぽい方の「馬すじ」を食べてみると・・・
こちらは噛むほどに馬肉の味がしてきて、文句なしに美味。


たぶん、

私が「牛アキレス」を受け入れられないのは、馬の代替と思ってしまうからなのよね。

「馬は熊本食文化の大きな柱だけんね。
肉だけじゃなかよ、ホルモン類も脂も ぜーんぶ熊本人の血肉ばい!
無かなら無かで諦めなんたい!安直に代替なんか並べたらいかんけんね!
馬じゃなかなら、スジなんか無かっちゃよかけんねっ!!
馬がなかなら肉なんか一生食わんけんねっ!!!」
と、
無駄な遠吠えでも 吠えてみせるのが”肥後もっこす”です。

嗚呼、私は正しい肥後もっこすになりたい。でもなれない。。女だから。しくしく。


後日、もっこすより豪快な母があちこち奔走して最終的に 某馬肉問屋に尋ねたところ、
「もうスーパーなんかじゃ馬のアキレスは手に入らないですよ」と言われ、
その理由まで教えてもらうことは出来なかったと言っておりました。
しかし、その問屋さんが自社で捌いている生のアキレスを譲って貰えることになりまして、
私と母の お正月は、無事にめでたく馬アキレスと、馬すじを頂けました。

国産馬の生のアキレス。自分で茹でて ぶつ切りにするんですけど・・・これって、
もともと 一般消費者が手に入れるのは困難だった筈の上物・・・。瓢箪からコマ?(違;)

「まー、騒いでみるもんだわね。」と、
母と電話で笑い合った大晦日だったのでございました。

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2007年01月05日 00:00に投稿されたエントリーのページです。

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