2007年07月30日
肥後象嵌
熊本帰省中、ふとタクシーの運転手さんに訊ねてみた。
「肥後象嵌の職人さんが居て販売もしてるお店ってあるんですか?」と。
それで連れて行ってもらったのが「象嵌 光助」
「象嵌 光助」の銘は、デパートで見たことがあったけど職人在中の店舗があるとは知らなかった。
ショーウィンドウの中には、初代から三代目までの作品が展示。
お店の方に色々とお話を伺っていたら「工房を見てみますか?」と、見学させて頂けました。
その時行われていた作業は、「金板の型抜き」の工程。
こうして抜いた金を 松脂に固定した鉄板に食い込ませていくのだそうです。
(因みに この鉄板は”しおり”用。)
しかし、鉄の表面が平らだと金を打ち付けてもすぐ剥がれててしまうので、
表面にタガネで細かい溝を刻み(布目切り)、溝に金を入り込みやすくしてあります。
私が見学させて頂いたのはここまで。で、その後の工程は お話しだけ伺いました。
この鉄板に 金を食い込ませた後、「錆出し」という工程で 赤錆を出し、
それをお茶(タンニン)で煮て、赤錆を黒く変色させた後 金・銀の磨き出し。
肥後象嵌の特徴でもあるマットな黒は、こうした化学変化によるものと初めて知りました。
そしてようやく最後の工程「彫金」。
筋打ちタガネで金に細かな傷をつけながら陰影をつけて完成。
参考動画 → KIBSくまもと見聞録「文化と伝統」
工房からショールームに戻ると四代目が奥の作業場にいらっしゃいました。
お仕事の邪魔をするのが申し訳なかったので、遠くからパチリ。
熊本市の人口67万人、熊本都市圏人口105万人。そんなにいるんだー!と驚いた私だけど、^^;
もっと驚いちゃったのは、現在の肥後象嵌職人さん...たったの20人!ってこと。絶滅の危機?
その殆んどが零細経営で、後継者育成の環境を作るのも大変なのだそうです。
「こりゃ、どぎゃんか せないかんばい!(訳:これは、どうにかせねばならぬ!)」と四代目は、
職業訓練所へはもちろんのこと、一般講座(カルチャー)等での講師も努められて
落伍者が続出してしまうくらいに「本気」で教えていらっしゃると聞きました。
今のこの時代のなかで、すべての工程が人の手で作られている肥後象嵌。
このまま職人がいなくなり後継者も育たなかったら・・・
伝統工芸の名残として、機械によって製品化されちゃうのかな?
それって・・・やだな。
肥後象嵌やりたい人ー!
だれかいませんかー?
*****
象嵌 光助
株式会社 大住工芸
〒860-0004 熊本県熊本市新町3-2-1
TEL:096-324-4488 FAX:096-319-2710
投稿者 ゆみ@尾だ鞠 : 2007年07月30日 00:00
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